
人材派遣業界の将来性は?市場規模の推移や生き残る企業の特徴を解説します!
「人材派遣って、今後も需要があるの?」
「将来性がある派遣会社とそうでない会社の違いって何?」
そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
人材派遣業界は人手不足を背景に堅調な成長を続けていますが、DXの推進や法改正対応など、企業ごとの差も広がってきているのが現状です。
将来性のある企業を見極めるには、市場動向だけでなく、変化への適応力や人材支援への本気度にも目を向ける必要があります。
本記事では、人材派遣業界の市場規模の推移や成長要因を解説するとともに、今後生き残る企業の特徴についても詳しくご紹介します。
「人材業界に転職したい」「将来性のある派遣会社と取引したい」という方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
【この記事でわかること】
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そもそも人材派遣って何をやるの?仕事内容や働き方を解説
目次
人材派遣業界の将来性は?
人材派遣業界は、慢性的な人手不足や働き方の多様化を背景に、今後も一定のニーズが見込まれています。
一方で、少子高齢化による派遣人材の減少や、待遇改善を求める声の高まりなど、業界全体に変化を迫る要因も少なくありません。
ここでは、人材派遣業界の将来性を左右する4つの重要な視点を解説します。
人手不足による派遣需要の拡大
人材派遣業界の将来性は高いといえます。
多くの企業が人手不足を背景に、即戦力人材を柔軟に確保できる手段として派遣を積極的に活用しているためです。
厚生労働省が令和7年3月に公表した「令和5年度 労働者派遣事業報告書」のデータによると、派遣需要の増加を示すポイントは以下が挙げられます。
- 派遣先件数は799,097件と、過去5年で最多(前年度比+0.4%)
- 派遣の実績がある事業所あたりの平均派遣先数は25.1件(前年24.4件から増加)
- 無期雇用派遣労働者は約84万人と、前年から増加傾向
- 登録型派遣の平均登録者数は1事業所あたり242人以上と大規模
これらの動向から見ても、派遣は今後も企業にとって重要な人材確保手段であり、業界全体として安定成長が見込まれるといえるでしょう。
派遣人材の減少
派遣人材の確保は今後ますます難しくなると予想されます。
理由は、日本は急速な人口減少と少子高齢化の進行によって、労働力人口そのものが縮小しているためです。
厚生労働省のデータによると、以下のような変化が見られます。
- 2070年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は39%に達する見込み
- 2025年には75歳以上が全人口の約18%になる見通し
- 2040年には65歳以上が全人口の約35%を占めると推計
- 出生率は低位で推移し、長期的な人口低下傾向に歯止めがかからない
こうした背景から、今後は派遣先企業が求める人材に対し、供給が追いつかない状況が現実的に起こり得るでしょう。
働き方の多様化
人材派遣の重要性は、今後さらに高まっていくと考えられます。
終身雇用に象徴される従来型の雇用モデルが変化し、企業はより柔軟かつ即応性の高い人材活用を求めているためです。
マンパワーグループの「2025年 労働市場動向レポート」によると、働き方に関するトレンドは以下のように変化しています。
- 業務に応じたジョブ型配置や評価制度への移行が進行
- リモートワークの普及で柔軟な働き方が定着
- 短期課題に対応するため、非正規雇用の活用が加速
- Z世代を中心に、柔軟で多様なキャリア志向が拡大
- デジタルスキルと継続的なスキル習得の重要性が増加
こうした変化により、従来の「一括採用・終身雇用」にとらわれない働き方が広がっています。
柔軟性や即戦力を備え、プロジェクト単位で対応できる派遣人材の活用は、企業の人材戦略において不可欠な選択肢となりつつあるのです。
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派遣労働の待遇改善
派遣人材の確保と定着を図るうえで、待遇改善は業界全体の重要課題です。
働き方の多様化や人材競争の激化により、優秀な人材を引きつける環境づくりが企業の競争力に直結します。
厚生労働省の施策や業界の動向を踏まえると、各派遣会社が取り組む改善ポイントは次の通りです。
福利厚生・サポート体制の整備
社会保険、休暇、キャリア支援などを強化し、就業環境を改善
労働条件の透明化
契約内容の明確化により、企業・労働者双方の信頼性を向上
多様な働き方への対応
リモート勤務や時短勤務に対応した支援体制を構築
テクノロジーの活用
AIやスキル診断ツールにより、ミスマッチを減らしマッチング精度を向上
法改正への柔軟な対応
派遣法などの規制強化に即応し、法令遵守と信頼性を両立
派遣会社は「一時的な人員供給」から「信頼される人材パートナー」へとポジションを転換しつつあります。
待遇改善の推進は、人材の質と企業の人事戦略の精度を高めるでしょう。
人材派遣業界の市場規模の推移
人材派遣業界の市場は、今後も安定した成長が続くでしょう。
慢性的な人手不足を背景に、企業側の派遣ニーズが堅調に推移しており、特にIT・介護など一部業種では需要が高まっています。
以下は、人材派遣業界を含めた人材関連サービス主要3業界の市場規模の推移のグラフです。
株式会社矢野経済研究所の調査によると、以下のような市場動向が明らかになっています。
- 2023年度の人材派遣市場規模は9兆2,800億円(前年比+5.9%)
- 2024年度は10兆円を突破し、10兆2,602億円まで拡大する見込み(前年比+5.6%)
- 特にITエンジニアや介護職などの分野で、企業からの派遣需要が継続的に増加
- 人材紹介業も17.1%増と好調で、派遣業との相乗効果も期待されている
- 一部ではコロナ関連業務の受注終了により減収もあったが、市場全体への影響は限定的
人材派遣業は成長性と安定性を兼ね備えた市場として注目されています。
今後も人手不足の継続とデジタル活用の進展を背景に、企業の外部人材戦略において重要な役割を担い続けることが予測されます。
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人材派遣業界の現状の課題は?
人材派遣業界は成長を続ける一方で、制度対応の遅れや人材確保の難しさなどの複数の課題を抱えています。
ここでは、現在の人材派遣業界が直面している代表的な課題を5つご紹介します。
法への対応が追いついていない
人材派遣業界では、2020年〜2021年に導入された「同一労働同一賃金」制度への対応が、企業実務における大きな課題です。
この制度は、派遣社員と正社員の間に不合理な待遇差があってはならないという考えに基づき、賃金や福利厚生などの格差を是正することを目的としています。
対応方法は、以下2つのいずれかです。
方法 | 内容 |
---|---|
派遣先均等・均衡方式 | 派遣先の正社員と同じ待遇に合わせる |
労使協定方式 | 派遣元企業が、労働者代表と協定を結び独自に待遇を設定 |
多くの派遣会社は、運用のしやすさから「労使協定方式」を採用しています。
しかし、労使協定方式を正しく運用するには、以下のような対応が必要です。
- 業務内容や職種ごとに適正な賃金を設定する必要がある
- 教育訓練や福利厚生においても、法定水準を満たす必要がある
- 協定内容を文書化し、労働者代表との合意を得る必要がある
「同一労働同一賃金」への対応は、制度の理解やコスト、実務面で派遣元企業に負担がかかっており、中小の派遣会社では体制整備が難しいケースもあります。
今後は、支援ツールや外部専門家の活用による対応力の強化が求められるでしょう。
派遣の需要減少・代替リスク
ルーティン業務を中心とした派遣ニーズは、今後縮小する可能性があります。
事務や軽作業、受付、データ入力などの定型業務は、AIや自動化技術の進化により代替が進んでいるためです。
具体的には、以下のような動きが進んでいます。
- RPA業務自動化ツール)の導入で、データ入力やチェック作業が自動化
- AIや無人受付で、問い合わせ・来客対応が省人化
- クラウド会計やSaaSツールで、集計・書類作成が効率化
こうした変化は、企業がコスト削減と業務効率化を目指して導入しているものであり、単純作業に頼る派遣業務が減っていく要因になります。
今後の人材派遣業界では、より専門性の高いスキルを持つ人材の育成や、非定型・付加価値の高い業務への対応力が、企業から求められるようになるでしょう。
派遣人材の獲得
企業が必要な人材を迅速に確保するには、派遣人材の採用・確保体制の強化がこれまで以上に重要になるでしょう。
少子高齢化やライフスタイルの多様化を背景に、労働力人口そのものが減少しており、特に派遣分野では人材の流動性が高まっているためです。
一般社団法人の日本人材派遣協会のデータによると、以下のような現状がわかります。
- 2024年1〜3月期の派遣社員数は152万人で、前年同期比で2万人減
- 3月単月では一時回復したものの、前年同月比では増加幅が限定的
- 事務職・製造職を中心に人材確保が困難に
- 募集時平均賃金は上昇傾向で、企業には賃金水準の見直しが求められている
- 三大都市圏では採用競争が激化し、募集・定着にかかるコストや工数が増大
人材派遣会社は「選ばれる事業者」としてのブランディング強化と、雇用環境の見直し・訴求力のある人材獲得戦略の再構築が急務です。
キャリア形成支援の不十分さ
派遣スタッフのキャリア形成支援は、現状では十分とは言えず、スキル向上や雇用の安定性に課題があるのが現状です。
一般社団法人 日本人材派遣協会の「派遣スタッフのキャリア形成支援の現状と課題」によると、多くの派遣会社が支援の必要性を認識している一方で、実際の取り組みは限定的であり、派遣先の協力も得にくい状況が見られます。
具体的な状況は、以下の通りです。
- 業務範囲が限定されていると、長期就労でも時給が上がりにくい
- 希望職種への変更が難しく、キャリア支援が十分に行えない場合がある
- 派遣先が育成に消極的で、スキルアップの機会が得にくい
- ブランクがある人や未経験者には、研修を通じて就業支援がおこなわれている
- 一部では、紹介予定派遣や専門職への転換支援も実施されている
派遣スタッフのキャリア形成には、派遣会社だけでなく、派遣先企業の理解と協力も欠かせません。
今後は、スタッフの意向に寄り添いながら、スキルアップや長期的な就労につながる支援体制の構築が求められます。
外国人労働者の受け入れ
外国人労働者の受け入れが進む中で、企業には適切な体制づくりがより一層重要です。
厚生労働省の最新データによると、外国人労働者数は過去最多の約230万人に達しています。
技能実習や特定技能制度を通じた雇用が増加しており、言語や文化の違い、法的手続きの複雑さが現場での大きな課題です。
具体的な状況は、以下の通りにまとめました。
- 外国人労働者数:2,302,587人(前年比+12.4%)
- 最も多い国籍:ベトナム(約57万人)
- 在留資格別最多:専門的・技術的分野(約71万人)
- 技能実習:前年比+14.1%と増加傾向
今後は、外国人労働者が安心して働けるよう、法令順守・生活支援・多文化理解を含めたサポート体制の強化が求められます。
特に技能実習・特定技能制度を活用する企業は、教育やフォロー体制を整えることが重要といえるでしょう。
人材派遣業界がやめとけと言われる理由
人材派遣業界は、多様な人材と企業をつなぐ社会的意義の高い仕事である一方で、「やめとけ」など不安の声があがることもある業界です。
ここでは、人材派遣業界がやめとけと言われる主な理由について、4つの視点から解説します。
キャリア形成がしにくいとされる
人材派遣会社の営業職・内勤職にとっても、キャリアを描きにくい環境だと感じられることが少なくありません。
日々の業務が属人的かつ多忙になりやすく、スキルを体系的に習得できる仕組みが不足しているためです。
特に営業職では、派遣スタッフと派遣先のマッチング対応に追われ、専門性を高めたり戦略的な提案力を磨く時間が取りにくいでしょう。
キャリア形成が難しいとされる要因は以下の通りです。
- OJT中心で、計画的な研修や外部講座の機会が乏しい
- スタッフ対応や契約業務が多く、営業職としてのキャリア形成が難しい
- 頻繁な異動で、専門性を高めにくい
このような環境では、明確なキャリアビジョンを描きづらく、長期的な成長につながるスキルの蓄積が難しくなるリスクがあります。
今後は、社内の人材にも目を向けた成長支援の仕組みづくりが求められるでしょう。
ノルマが厳しい
人材派遣業界は、目標達成に対するプレッシャーが大きいでしょう。
理由は、多くの企業では「月内の成約件数」や「稼働人数」など、明確な数値指標に基づいて営業成果を管理しているためです。
たとえば、毎月の数字目標が未達の場合には、上司から厳しい指導を受けるケースもあり、数字に追われる感覚を強く持つ人もいます。
また、「人を数字で見るような風土に馴染めない」という理由で、業界から離れる人も少なくありません。
目標達成への強いプレッシャーが苦手な方にとっては、人材派遣業界の営業職は合わない可能性があります。
自身の価値観や働き方に合った評価制度を重視する場合は、事前に社風やKPIの内容をしっかり確認しておくのが大切です。
離職率が高い
人材派遣業界は、離職率が高く人の入れ替わりが激しいといわれる場合があります。
労働環境や給与水準への不満、人間関係のストレスなどの要因が重なり、早期離職につながるケースが多いためです。
特に営業職では、ノルマのプレッシャーや長時間労働、人材とのミスマッチなどが精神的負担となり、モチベーションの低下を招く場合があります。
現場や支店ごとに風土の差が大きく、配属先によっては「働きにくい」と感じる人も少なくありません。
短期間で人が入れ替わる傾向が強く、組織としての安定性を保つのが難しい場面も見受けられます。
人材派遣業界で働くことを検討する際は、職場の定着率や社員満足度、教育体制などを事前に確認しておきましょう。
法改正や社会的視線の影響
人材派遣業界は、法改正や社会的な見解に大きな影響を受けやすい業界です。
特に、労働者派遣法の改正や制度の変更が業界の仕組みやビジネスモデルに影響を与えます。
理由としては、以下の点が挙げられます。
派遣3年ルール
- 同じ派遣先での勤務期間を原則3年に制限するもので、2015年の改正で全職種に適用
- 派遣社員の契約更新や配置換えが必要となり、企業・派遣社員両方に対応が必要
派遣労働に対する社会的偏見
「不安定な雇用を助長している」などのネガティブな見方が依然として存在し、派遣業界全体のイメージや安定性に影響を与えることもある
派遣業界で安定的にキャリアを築くためには、法改正の動向を常に把握し、企業が柔軟に対応できる体制を整えることが重要です。
法改正を意識した企業選びや、制度変化に適応できる企業との連携が、派遣社員にとって安定したキャリア形成につながります。
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人材派遣業界がやめとけと言われる理由は?実態を解説
人材派遣業界で将来性のある企業の特徴
人材派遣業界は、人手不足や働き方の多様化を背景に、今後も一定の需要が見込まれる分野です。
しかし、すべての企業が将来性を持っているわけではなく、変化に対応できる企業とそうでない企業の明暗が分かれ始めています。
市場の変化や労働環境のニーズに応じて成長している将来性のある派遣会社の特徴は以下の4つです。
専門性の高い企業
専門分野に特化した人材派遣会社は、変化の激しい市場環境の中でも安定したニーズを獲得しやすく、将来性が高いといえます。
業界や職種ごとの課題やスキル要件に精通しているため、他社との差別化が図れ、顧客企業とのマッチング精度も向上するでしょう。
特にIT、医療・介護、物流などの人手不足が深刻な分野では、専門性の高さが競争優位性につながります。
具体的には、以下の通りです。
- IT・医療・物流など、需要の高い業界に絞った事業展開で安定的に顧客を確保
- エリアや職種に特化することで、大手との明確な差別化が可能
- 高スキル人材の紹介・派遣により、受け入れ企業の業務効率・品質向上に寄与
- 業界知見を活かした独自の教育カリキュラム・研修体制でリピーター企業を獲得
人材派遣業界において今後も成長が見込まれるのは、専門分野に特化し、顧客企業と人材の双方に対して高い付加価値を提供できる企業といえるでしょう。
社員の育成・キャリア支援が充実な企業
派遣社員の育成に注力している企業は、長期的な人材確保と顧客企業からの信頼獲得の両面において、将来性が高いといえます。
企業の人材ニーズと派遣社員のキャリア意欲の双方に応えることで、定着率や再契約率の向上にも貢献できるでしょう。
企業が実践している代表的な施策は、以下の通りです。
- 業種・レベル別の独自教育カリキュラムの提供
- 医療・介護分野での資格取得支援
- 派遣前後でスキル可視化の仕組み導入
- 教育制度の充実を採用広報でアピール
- 顧客企業にスキルレベルや成長計画を提示
単なる人材供給にとどまらず、「育てて届ける」という姿勢を持つ企業こそが、今後の人材派遣市場で生き残る存在です。
教育制度の整備は、顧客企業・派遣スタッフ・派遣会社の三者にとってWin-Winの仕組みとなるでしょう。
外国人労働者を活用できている企業
外国人労働者の採用を積極的に進める企業は、深刻化する人手不足への有効な対策を講じているといえます。
製造業や介護分野を中心に、外国人材の需要が増加しているためです。
これに対応できる派遣会社は、業界の変化に柔軟に対応できる基盤を持っていると評価されます。
具体的な受け入れ支援の内容は、以下の通りです。
- 在留資格の申請・管理サポート
- 就労ビザ取得の手続き支援
- 日本語教育やコミュニケーション指導の提供
- 外国人材向けの適性検査やスキル評価
- 就労制度や労働関連法の研修・遵守支援
体制を整備している企業は、クライアントに「採用の手間とリスク軽減」を提供でき、継続的な取引が期待できます。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進ができている企業
DXを推進する派遣会社は、業務効率・マッチング精度・顧客満足のすべてにおいて優位性を発揮しています。
クラウドやAIを活用することで、人的ミスや作業負荷を減らし、派遣スタッフとの連携と定着率が向上します。
業務改善や競争力強化につながる具体的な施策は、以下に示す通りです。
- 勤怠・契約・給与処理を統合システムで効率化
- AIがスキル・特性を分析し、最適な案件を自動提案
- アプリで勤怠申請・案件確認ができ、スタッフの満足度向上
- データ分析でスキル需要を予測し、教育投資を最適化
DXを進めることは単なる省力化ではなく、サービス品質と組織力の向上につながります。
先進的な企業ほど、変化の激しい業界での生き残りを確かなものにしているといえるでしょう。
人材派遣業界で将来性のない企業の特徴
人材派遣業界では、労働力不足や働き方の多様化を追い風に成長を続ける企業がある一方で、時代の変化に対応できず、将来性が懸念される企業も少なくありません。
ここでは、将来性のない派遣会社に共通する特徴を整理しました。
転職や取引先選びの参考として、ぜひ確認しておきましょう。
代替可能な職種の求人ばかり扱っている企業
今後の人材派遣市場においては、AIやRPAで代替可能な職種ばかりを扱う企業は、将来的な成長が見込めません。
ルーティン業務は、デジタル化や自動化の対象となりやすく、派遣ニーズそのものが減少傾向にあるためです。
この動きを裏付ける事例としては、以下が挙げられます。
- AIによるチャット対応でカスタマーサポートの派遣ニーズが減少
- OCR(光学式文字認識)により、印刷物や手書き文字を自動でデジタル化
- RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入し、定型業務を自動化
- 倉庫業務におけるロボット搬送の導入によって軽作業派遣が縮小傾向
今後も生き残るためには、医療・IT・福祉など、専門性が求められる分野への領域転換が不可欠です。
代替困難な職種への対応力が、派遣企業の将来性を左右するでしょう。
DXの推進ができていない企業
デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進できていない企業は、今後の人材派遣業界において競争力を失う可能性が高いでしょう。
人材業界は、市場変化のスピードが早く、求職者・企業のニーズも多様化しているためです。
DXの活用イメージは、以下の通りです。
- データ一元管理システムで、求職者情報と求人案件をリアルタイムにマッチング
- ITツール活用で、求職者対応時間を短縮し、企業への提案速度を改善
- 業務効率化により、スタッフの働き方にゆとりが生まれ、職場満足度が向上
DXを推進し、ITによる業務改革をおこなっている企業ほど、変化の激しい市場でも安定して成長を続けられます。
人材派遣業界で生き残るためには、スピードと柔軟性を両立できるDX体制の構築が不可欠です。
派遣社員へのサポートやキャリア支援が乏しい企業
派遣社員へのキャリア支援が不十分な企業は、スタッフのスキル向上や定着を図れず、人材の流動性が高まりやすくなります。
派遣元企業がサポート体制を整備していない場合、派遣社員は自身の将来像を描けず、早期離職につながりやすいためです。
具体的な状況として挙げられるのは以下にまとめました。
- 社内キャリア研修を実施している派遣元は約30%にとどまる
- 能力評価は約8割が実施しているものの、派遣先選定に活用できている企業は約半数以下
- キャリア相談の機会を設けていない企業も多く、派遣社員が自身のスキル課題を把握しにくい
派遣社員は「専門性の向上」や「挑戦」よりも「安定性」や「働きやすさ」を重視する傾向があります。
派遣社員が自身のキャリアを意識し、成長を実感できるような支援が不可欠といえるでしょう。
参考:厚生労働省「派遣労働者のキャリア形成に向けた取り組み事例集」
法の変更に対応できていない企業
企業が労働関連法の改正に適切に対応できていない場合、コンプライアンス違反や企業イメージの低下、人材確保の難航などのリスクが生じます。
労働者派遣法の改正により、派遣元は契約書の見直しや待遇の説明責任を果たさなければなりません。
柔軟かつ適切に法制度へ対応できる企業こそが、今後も安定した事業運営と人材確保を実現できます。
対応例として、以下の点が求められるでしょう。
- 派遣社員の待遇を「派遣先と同等にする」または「独自協定で決定」で対応
- 派遣先の待遇情報を受け取り、派遣社員に反映
- 昇給・賞与・待遇決定方法を派遣社員に説明
- 派遣契約書や台帳を法改正に合わせて見直す
- 協定方式選択時、社員代表と基準に従い協定を結ぶ
法改正への対応は、コストの問題ではなく、企業の信用や競争力を高める投資と考えるべきです。
柔軟に法制度に対応できる企業こそが、安定した事業運営と人材確保を実現できるでしょう。
人材派遣業界と人材紹介業界の将来性の比較
人材ビジネスの中核を担う「人材派遣」と「人材紹介」は、どちらも企業と働き手をつなぐ重要な役割を果たしています。
しかし、市場の成長性や働き方の傾向、求められるスキルや適性はそれぞれ大きく異なります。
ここでは、人材派遣業界と人材紹介業界の将来性を3つの観点からわかりやすく比較しているので、参考にしてください。
市場の成長性
人材派遣業界・人材紹介業界ともに堅調に成長しており、特にIT系や専門職ニーズの高まりを受けて今後も拡大が見込まれます。
2023年度の人材関連ビジネス主要3業界の市場規模は、前年度比6.3%増の9兆7,156億円に達しました。
特に、ホワイトカラー職種の人材紹介業は17.1%の成長を記録しており、即戦力人材やIT人材への需要が伸びています。
一方、人材派遣業市場も5.9%増と堅調で、介護職やIT系職種を中心にニーズが拡大している状況です。
人材派遣業市場(9兆2,800億円・前年比5.9%増)
ITエンジニアや介護職など、人手不足が深刻な分野でニーズが急増
人材紹介業市場(4,110億円・前年比17.1%増)
即戦力のホワイトカラー人材(例:営業職・経理・エンジニア)への採用需要が高い
再就職支援市場(246億円・前年比0.4%増)
コロナ禍収束によりニーズが落ち着き、成長は限定的
今後も人手不足や業務の高度化を背景に、人材派遣・紹介ともに市場の成長は続く見込みです。
特にITや医療・介護など専門性の高い職種を扱う企業においては、さらなる拡大が期待されます。
働き方
人材派遣業界と人材紹介業界では、担当業務や働き方に大きな違いがあります。
両者が支援する雇用形態やマッチングのプロセスが異なるためです。
具体的な違いは、以下の表にまとめました。
比較項目 | 人材派遣業界 | 人材紹介業界(紹介会社) |
---|---|---|
主な職種 | 営業職 (法人対応・スタッフ対応) | キャリアアドバイザー コンサルタント |
担当業務 | 契約 勤怠管理 派遣先との調整など | 面談 求人提案 選考支援 企業交渉など |
マッチング 対象 | 派遣スタッフ (期間限定の雇用) | 正社員・契約社員などの中途人材 |
報酬・評価 制度 | KPI(稼働数・成約数)に 基づく目標型評価 | 紹介成功時の成果報酬型 |
スキルの 方向性 | 実務調整 現場対応 関係構築力など | カウンセリング力 提案力 交渉力など |
キャリアパス | 拠点マネージャー 営業管理職など | 事業責任者 専門コンサルタントなど |
両業界は求められるスキルややりがいが異なるため、自分の適性や働き方の志向に応じて選ぶのが大切です。
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キャリアアドバイザーとは?仕事内容や必要なスキルを解説
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向いている人
人材派遣業界は「対応力と現場感覚」が求められる一方で、人材紹介業界は「提案力と信頼構築力」が求められるため、それぞれ向いている人物像が異なります。
具体的に向いている人の特徴は、以下の通りです。
特徴 | 人材派遣業界に向いている人 | 人材紹介業界に向いている人 |
---|---|---|
主なスキル | 現場対応力 調整力 営業力 | ヒアリング力 提案力 文章力 |
性格の傾向 | 人と話すのが好き 現場に強い興味がある | 共感力がある じっくり相手と向き合うのが得意 |
経験・ バックグラウンド | 営業経験者法人対応の経験がある | 接客・販売・カウンセリングなど対人支援の経験がある |
活躍しやすい人物像 | スピード感と柔軟性を持ち、 マルチタスクをこなせる人 | 丁寧な対話で信頼を構築し、 成果に繋げられる人 |
活かせる強み | 数値管理 スケジュール管理など | 提案書作成 職務経歴書添削 面接対策など |
スピード感ある現場とのやりとりを好む方は「人材派遣」、一人ひとりの人生に深く関わる提案がしたい方は「人材紹介」に向いているといえます。
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キャリアアドバイザーに向いている人やおすすめ企業を紹介
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人材派遣業界の将来性を見極めよう!
人手不足や働き方の多様化を背景に、人材派遣業界は今後も一定の需要が見込まれる成長市場です。
特にDXの推進や外国人労働者の活用、キャリア支援の充実などに積極的に取り組む企業は、将来性のある派遣会社として注目されています。
変化を恐れず、常にアップデートを続けていく企業こそが、人材派遣業界の未来を切り拓いていく存在となるでしょう。
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