公開日: 2024.03.28
人事コンサルとは?向いている人の特徴も解説します
人事コンサルタントは、名前は聞いたことがあっても、実際の仕事内容やキャリアのイメージが湧きにくいと感じる方も多いでしょう。
特に「人事経験がないと難しいのでは」「年収はどれくらい見込めるのか」などの不安を抱くケースも少なくありません。
本記事では、そうした疑問を一つずつ解消しながら、人事コンサルタントの全体像を具体的に整理します。
未経験からの転職を検討している方や、人事領域でキャリアアップを目指す方はぜひ参考にしてください。
【この記事を読むとわかること】
・人事コンサルタントとは
・人事コンサルタントの平均年収
・人事コンサルタントになるには?転職成功のコツ
目次
人事コンサルタントとは

人事コンサルタントとは、企業が抱える「人」に関する課題を第三者の立場から整理し、解決策を設計や実行支援する専門職です。
主なテーマは採用戦略、人事制度設計、人材育成、組織開発などが挙げられます。
人事コンサルタントのニーズ背景と役割
【ニーズ背景】
- 少子高齢化や人材不足が深刻化し、企業は限られた人材で生産性を高める必要がある。
- 社内だけで制度を見直そうとすると、過去の慣習や利害関係に縛られ、抜本的な改革が進まない。
- 人的資本経営の考え方が浸透し、人事施策にも定量的な説明や再現性が求められるようになった。
【役割】
- 外部の視点から課題を可視化し、経営戦略と連動した人事施策を提案。
- 「なぜ今この施策が必要なのか」「会社の成長にどう貢献するのか」を論理的に示す。
- データや事例をもとに施策の妥当性を示す。
3つの人事コンサルタントと仕事内容
人事コンサルタントの仕事内容は下記3つに分類します。
それぞれ見てみましょう。
人事組織コンサルタント
人事組織コンサルタントは、評価制度や報酬制度、組織構造の設計など、企業の「人事の仕組み」全体を扱います。
人事組織コンサルタントの仕事内容
- 等級制度、評価指標、組織構造の見直し
- 制度導入後の運用、定着、改善
たとえば、成果が正当に評価されない、管理職が育たないなどの悩みに対し、等級制度や評価指標の見直しを行います。
企業の成長フェーズや事業内容を踏まえ、社員の行動変容につながる設計が求められます。
制度導入後も運用が定着するかを検証し、必要に応じて改善を重ねる点も特徴です。
特に大企業や成長フェーズにある企業では、組織規模の拡大に制度が追いつかないケースが多く見られます。
人事組織コンサルタントは、こうした兆候を早期に捉え、制度面から改善策を提示します。
長期的な視点で組織の健全性を保つ役割を担う点が、この領域の特徴です。
採用コンサルタント
採用コンサルタントは、採用戦略の立案から母集団形成、選考プロセスの改善までを幅広く支援する役割を担います。
採用コンサルタントの仕事内容
- 採用人材の要件定義
- 求人票の設計
- 採用ブランディング
- 面接フローの見直し
- 定着率、早期退職の改善
単に応募数を増やすのではなく、「どのような人材を、なぜ採用するのか」を明確にし、企業の成長戦略と採用方針を結び付ける点が重要です。
とくに人材獲得競争が激しい職種では、手法の違いが採用結果に大きく影響するケースも少なくありません。
人事担当者の工数削減やミスマッチ防止を目的とした支援へのニーズは高く、取り組みの成果が数値として把握しやすい点も、この仕事の特徴です。
人材育成コンサルタント
人材育成コンサルタントは、社員研修やマネジメント育成、次世代リーダー開発などを通じて、企業の人材基盤を強化する役割を担います。
人材育成コンサルタントの仕事内容
- 研修設計
- 育成計画
- 定着率の改善
- 管理者層の底上げ
単発の研修で終わらせず、育成体系全体を見直すことで、組織として同様の成果を再現しやすくなります。
将来必要となる人材像から逆算し、中長期的な視点で育成計画を描いていくことが重要です。
研修後には行動変化や成果を確認し、次の改善へつなげていきます。
さらに、育成施策が現場に定着しているかを継続的に検証し、評価制度や配置との整合性を取る場面も少なくありません。
近年では、管理職の負荷軽減や自律的に学ぶ人材を増やしたいと考える企業からの相談も増えており、育成領域への期待は一層高まっています。
人事コンサルタントに向いている人の特徴
人事コンサルタントに向いている人の特徴は、下記のとおりです。
それぞれ詳しく見てみましょう。
経営視点から論理的に考えられる人
人事コンサルタントには、経営数値と人事施策を結び付けて考える力が求められます。
経営視点から論理的に考える力が必要な場面
- 経営課題に対し、人事制度がどのようにROIへ影響するかの説明
- 制度変更が現場の社員に与える心理的影響の考慮
- 経営層との打ち合わせでの、施策の背景や期待効果の説明
施策と結果の因果関係を組み立てる思考が得意な方に向いている仕事です。
本音を引き出す対話力がある人
アンケートやヒアリングを通じて、社員が表に出しにくい不満や課題を引き出す力が欠かせません。
対話力が必要になる場面
- 経営層と現場の主張を整理し、納得感のある落としどころを見つける
- 意見をはっきり伝えなければならない時
相手の警戒心を解き、安心して本音を話してもらうためには、丁寧なコミュニケーションが重要です。
表面的な声だけを拾っていては、根本的な課題は見えにくいものです。
言葉の裏にある感情や背景を読み取り、時間をかけて信頼関係を築く姿勢が、提案の質を左右します。
人に寄り添える誠実さがある人
人事コンサルタントは、評価や報酬、配置転換など極めて重要な情報を扱います。
誠実さが必要な場面
- 人事制度を変更する時
- 人事配置を変更する時
- 人事評価を行う時
情報管理への高い倫理観が前提です。
人事制度の変更は、社員一人ひとりの生活やキャリアに直結します。
その重みを理解し、誠実に課題と向き合う姿勢が求められます。
中立的な立場を保ちつつ、時には耳の痛い提言を行える強さも必要でしょう。
関係者それぞれの立場や感情を踏まえた上で判断する冷静さも欠かせません。
短期的な成果よりも、長期的に企業と社員の双方にとってプラスになる選択を重視できる方に向いています。
常に情報をキャッチアップする探求心がある人
探求心が必要な場面
- 労働関連法規の改正時
- 人事に関する新たな考え方が生まれた時
- 業界動向のチェック
育児や介護休業法や同一労働同一賃金への対応など、最新情報を把握しておく姿勢が欠かせません。
加えて、ジョブ型雇用や人的資本経営などの新しい考え方を学び、企業ごとの課題に応じて応用できる柔軟さも重要です。
変化を負担と捉えるのではなく、新しい知見を取り入れる過程そのものを前向きに楽しめる姿勢が、この仕事では大きな強みです。
人事コンサルタントの平均年収
人事コンサルタントの年収は経験や所属企業によって幅があります。
人事コンサルタントの平均年収
903万円
出典:厚生労働省「職業情報提供サイト job tag」
未経験入社の場合は400万〜600万円前後からスタートし、経験を積むことで年収1,000万円を超えるケースもあります。
成果や専門性が報酬に反映されやすい点が特徴です。
特定領域に強みを持つコンサルタントや、マネジメントを任される立場になると、報酬水準は上がりやすい傾向です。
実力主義の環境を求める方にとっては、魅力的な職種でしょう。
人事コンサルタントになるには?転職成功のコツ
人事コンサルタントへなるための、転職のコツは大きく分けて2つあります。
それぞれ解説します。
人事コンサルティングファームへ転職する
人材コンサルタントになるための王道なルートは、人事コンサルティングファームへの転職です。
代表的な企業
- デロイトトーマツ
- リクルートマネジメントソリューションズ
未経験の場合、20代〜30代前半であればポテンシャル採用を狙える可能性があり、営業成績や論理的思考力が評価されやすく、前職での成果をどう再現してきたかが見られる傾向です。
一方、経験者にとっては、他領域のコンサル経験や高度な人事実務の蓄積が武器です。
ファームごとに得意分野やカルチャーは大きく異なり、選び方によって入社後の満足度は左右されます。
知名度だけで判断せず、自身の志向や成長イメージと照らし合わせての検討が、結果としてミスマッチの回避につながるでしょう。
事業会社の人事部門から転身する
採用、労務、制度設計などを事業会社で経験した後に、コンサルタントへ転向するケースも見られます。
現場での実務経験があるため、机上の空論になりにくく、クライアントから信頼を得やすい点が強みです。
とくに、自身の専門領域を明確にしておくことで、転職時の評価は高まりやすくなります。
現場経験があるからこそ、クライアントの悩みに現実的な視点で寄り添える点も、このルートならではの価値です。
一方で、社内人事とは異なるスピード感や成果責任が求められる環境でもあります。
限られた期間で成果を示す意識を持てるかどうかが、転向後に適応できるかの分かれ道です。
人事コンサルタントのための資格
人事コンサルタントで役立つ資格は、下記の3つです。
それぞれ見てみましょう。
社会保険労務士
社会保険労務士は、労働法令や社会保険制度に関する専門知識を持つ国家資格で、人事制度設計や労務管理を支援する立場として高く評価されます。
就業規則の整備、労働時間管理、社会保険手続きなど、企業の人事・労務領域を法的側面から支える点が特徴です。
人事コンサルタントにとっては、制度設計の妥当性や法令遵守を裏付ける強力な専門資格でしょう。
社会保険労務士の試験概要
試験は年1回行われる。
難易度:合格率は例年6~7%前後で難易度は高め。
受験料:15,000円と別途事務手数料
中小企業診断士
中小企業診断士は、経営戦略・財務・人事・マーケティングなど、企業経営全般を体系的に分析や助言できる国家資格です。
中小企業を中心に、経営課題の整理から改善策の提案までを担う立場として位置付けられており、人事コンサルタントにとっても「経営視点」を補強できる資格でしょう。
人事施策を単体で考えるのではなく、事業戦略や収益構造と結び付けて説明できる点が強みです。
中小企業診断士の試験概要
試験は一次試験と二次試験があり、それぞれ年1回行われる。
難易度:合格率は一次試験が20%前後、二次試験が18%前後
受験料:一次試験が14,500円、二次試験17,800円
参照元:中小企業診断協会 公式サイト
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、個人の職業選択やキャリア形成を専門的に支援する国家資格です。
相談者の価値観や適性を整理し、中長期的なキャリアの方向性を共に考える役割を担います。
人事コンサルタントにとっては、社員面談や1on1、育成施策の設計で、対話力や傾聴力を体系的に身につけられる点が大きな強みでしょう。
キャリアコンサルタントの試験概要
試験は学科試験と実技試験があり、年3回行われる。
難易度:合格率は50~60%前後
受験料:学科試験が8,900円、実技試験が29,900円
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人事コンサルタントを行うコンサル企業の種類
人事コンサルタントを行うコンサル企業の種類は、大きく分けて4つあります。
それぞれ見てみましょう。
組織人事特化のコンサル企業
組織人事特化のコンサル企業は、採用・評価・報酬・等級制度、タレントマネジメント、組織開発など「人と組織」のテーマに深く入り込み、制度設計から運用定着までを支援するタイプです。
経営戦略に沿って人事制度を再設計したい、評価の納得感を上げたい、管理職育成を仕組み化したいなどのニーズに強く、専門知見と実務に落とし込む力が問われます。
代表的な企業としては、マーサージャパン、コーン・フェリー、ウイリス・タワーズワトソン、エーオンソリューションズジャパン などが挙げられます。
プロジェクトは制度の「作り替え」だけでなく、現場浸透やチェンジマネジメントまで扱う場面も多く、関係者調整の比重が高い点も特徴です。
人事部門だけでなく、経営層や現場管理職を巻き込みながら進めるケースが一般的で、合意形成力やコミュニケーション力が成果を左右します。
専門領域を深めたい人にとっては、スキルの磨きがいがある分野です。
総合型コンサル企業
総合型コンサル企業は、経営戦略・業務改革・IT・DX・人事まで幅広い領域を一気通貫で扱い、企業変革を構想から実行、定着まで伴走するタイプです。
組織人事の支援でも、制度設計にとどまらず、HR領域のDXやPMO支援まで含むケースが多く見られます。
代表的な企業
- アクセンチュア
- アビームコンサルティング
- クニエ
- Big4
扱うテーマが広いため、業界横断の知見を身につけやすく、将来的に専門領域を定める前段階として経験を積みたい人にも適した環境でしょう。
一方で、複数領域を同時に理解する必要があり、学習量やプロジェクトの難度は高くなります。
変化の大きい環境で成長したい人に向いたタイプです。
シンクタンク系
シンクタンク系のコンサル企業は、調査や研究を基盤に、政策提言や中長期視点での経営や人事課題の解決を支援します。
企業や官公庁、自治体などを対象に、統計データや独自調査を用いて課題を構造的に分析し、客観性の高い提言を行う点が特徴です。
人事領域では、労働市場の動向分析、人材需給予測、制度改正の影響検証、人的資本開示に関する調査など、エビデンス重視のテーマを扱うケースが多く見られます。
代表的な企業
- 野村総合研究所
- 三菱総合研究所
- 日本総合研究所
いずれも金融機関や大手企業グループを母体としており、社会性の高いテーマに関われる点が特徴。
実行支援よりも分析・提言の比重が高く、論理構成力や文章力、データリテラシーが重視されます。
短期的な成果創出よりも、社会や産業全体を俯瞰しながら人事課題に向き合いたい人に向いたコンサル企業です。
独立系コンサル企業
独立系コンサル企業は、特定の資本系列や大手グループに属さず、独自の専門性やスタイルでコンサルティングを提供するタイプです。
組織人事や採用、育成、制度設計など、特定領域に強みを持つ企業が多く、クライアントの課題に応じて柔軟かつスピーディーに支援できる点が特徴でしょう。
大規模プロジェクトよりも、経営者や人事責任者と近い距離で進める案件が多く、実行フェーズまで深く関与するケースも少なくありません。
代表的な企業
- リンクアンドモチベーション
- グロービス
- プロレド・パートナーズ
企業ごとに提供価値やコンサルタントの裁量が大きく異なるため、カルチャーの影響を受けやすい点も特徴です。
裁量の大きさや意思決定の速さから、若手でも幅広い業務を任されやすく、成長スピードを重視したい人には魅力的な環境でしょう。
一方で、仕組みや研修が整っていない場合もあり、自ら学び、価値を発揮する姿勢が求められます。
人事コンサルタントへの転職を成功させよう!
人事コンサルタントへの転職を成功させるには、仕事内容や求められる役割を正しく理解し、自身の強みと重ねて考えることが欠かせません。
人事制度、採用、育成などの専門領域はそれぞれ異なり、どの分野で価値を発揮したいのかを明確にする必要があります。
また、ファームの種類によって業務内容や求められるスキル、働き方は大きく変わります。
資格は必須ではありませんが、専門性を補強する材料として有効に働く場面もあるでしょう。
これまでの経験をどう活かし、どの環境で成長したいのかを整理した上で転職活動に臨むことが、ミスマッチを防ぎ、納得感のあるキャリア選択につながります。
