近年急激に採用ニーズが高まっているBizDev職。
この記事を訪れた方も、BizDevの採用ができないと感じている方が多いでしょう。
私もBizDev特化の採用支援事業の責任者をしている中で、様々な会社のBizDev職に特化した採用支援を行ってきましたが、他の職種に比べてその採用難易度が高いことは明らかです。
「そもそも転職市場にいるのか?」、「BizDev職のペルソナ設計はどのように行えばいいのか?」など、最近ニーズが高まっている職種だからこそ、わからないことも多いのではないでしょうか。
この記事を読んでいただくことで、以下の内容を深く理解していただけると思います!
・そもそもBizDev職とは何か
・なぜBizDev職の採用が難しいのか
・費用対効果の高い採用方法とは 等々、それでは解説していきます!
そもそもBizDevとは何か
職種名の由来
「BizDev(ビズデブ)」とは「Business Development(ビジネスデベロップメント)」の略。日本語にすると「事業開発」という意味です。
字義通り解釈すれば、新規事業を開発するイメージが強く持てますが、事業開発と言っても新しいものを作るというより、成長しきっていない事業を成熟させる意味合いが強い職種になります。(企業にとってBizDevの定義は異なる)
事業開発という言葉には色々な意味合いが含まれています。企業によってその区切り方は異なるケースが殆どですが、大枠の分類として、職能や企業のフェーズごとに分けて整理してみると以下のようになります。
まず企業のフェーズから見ていきます。
企業のフェーズ別
(1)スタートアップフェーズ
このフェーズでは、多くの場合0→1を担当する求人は少なく、既存で持っているプロダクトや事業の成長を目指していく形が多いです。
(2)成長フェーズ
もちろん1→100のBizDev職も存在しますが、既存事業でキャッシュフローが潤っていたり、追加で資金調達していたり、既存事業とは別に新規事業を創出していきたいというニーズが発生することも多いです。
(3)成熟・安定フェーズ
ベンチャー等の非連続成長を遂げる企業に比べて、新規事業の開発スピードは落ちてきます。ただ一方で、資金力があり、M&A等のよりダイナミックな事業開発に携われる可能性が出てくるとも言えます。
このようにフェーズによっても異なってくるBizDev職ですが、職能別で見てもかなり広がりがあります。
職能別
(1)事業企画寄りのBizDev職
事業「企画」型の職務内容は、役割は各企業次第ではありますが、市場調査や顧客調査、MVP検証等を実施し、新しい事業に勝算があるのか、経営陣へのプレゼンなども実施します。自身で事業を推進し伸ばしていくというよりは、そのアウトラインや戦略を固める目的で動くのが、事業企画寄りのBizDev職であると言えますね。
(2)事業推進寄りのBizDev職
事業「推進」型の職務内容は、これも役割は各企業次第ではありますが、すでに携わる予定の事業は走り始めていることが多く、その事業をさらにスケールアップさせるために思考します。そして実際にアクションプランの実行まで行う役割です。こちらのポジションでももちろん思考して事業戦略を練る必要性があるのですが、どちらかと言えば事業戦略に基づきPDCAを回しながらグロースさせていく、いわば実行人としての役割も同時に備えていると言えます。
(自社にとってのBizDevの定義を設計するのが第一)
これはあくまで一つの区切り方であり、企業の特色に応じて多様な捉え方があるため、自社にとってのBizDev職とは?という観点で職種の解像度を上げることが、BizDev職の採用にとって非常に重要な工程となります。
なぜ近年ニーズが高まっているのか
BizDevという職種名をよく聞くようになったのは、比較的最近ではないでしょうか。
それは、職種自体の必要性が高まっていることの裏付けともいえます。
なぜ高まっているのでしょうか?
常に変化に適応する事業を作る
こちらは既存事業をどうグロースさせるか、という観点になります。現代の変化が激しい中で、決まったビジネスモデルに固執せず、中長期で勝っていくにはどのような事業展開が望ましいのか、そのためにどのような事業成長が必要で、そこに対してどの程度のリソースが必要なのかなど。
既存の事業に固執せずに、時代の変化と共に事業をアップデートしていく必要性こそが、事業開発の専門家が必須になってきている要因といえます。
産業革命の担い手としても求められるのがBizDev
既存事業のアップデートではなく、新市場を開拓して事業開発していく方面でも、その必要性が高まっています。特に現在の日本では多様なサービスが存在し、既存のマーケットが飽和している状況になっていることも少なくありません。またスタートアップブームも到来しており、今までに比べて新たなマーケットを切り開いていく必要性もまた、広がってきている背景と言えますね。
役割別のペルソナについて
ここまで、BizDevという職種の整理や求められる背景をまとめてきました。
大枠としては、事業企画・戦略設計寄りのBizDev、及び事業推進寄りのBizDevの2つに大別できます。
ここでは、それぞれを採用する際のペルソナについて解説していきます。
事業企画・戦略設計のペルソナと採用戦略について
事業企画寄りのBizDevについては、求められるスキルセットから逆算すると、事業戦略設計、KPI設定、マーケットリサーチ、PL作成経験などの上流工程のスキルセットがメインで求められる対象となることが想定されます。
例えば、弊社の事業開発職に特化した求人サービス「ひとキャリ」にも掲載されている、株式会社Timeeの事業開発ポジションには以下のような記述が職務内容として記載されています。
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〇主な仕事内容
マーケット分析・戦略立案・ビジネスインパクト創出までのシナリオ策定
社内外のステークホルダーやサービスと連携した中長期シナリオ・ビジネス検討
課題設定・定量定性分析・仮説に基づいた各施策の企画・方向性の検討
社内の各部門と連携した新規ビジネス・施策の企画立案
プロジェクトマネジメントにおけるディレクション業務
計画のモニタリングおよび計画達成のための施策推進やマネジメント
経営チームとの議論やゴール設定
営業・ファイナンス・プロダクト・マーケティングなどに携わる複数メンバーの統率やチームビルディング
新規立案・改善施策の実行と一部実行のディレクション
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上記を見ていると、上流の経験が豊富な方を求めていることが分かります。
こうした内容から、具体的にはコンサル経験を持っている方、ベンチャーでの経営企画経験や事業管理経験を持っている方が、ペルソナとして挙がってくると想定できます。
また中には、M&Aのソーシングからエグゼキューション、PMI後まで一気通貫で担当するBizDev職などもあります。例えば医療領域で唯一無二の事業展開を行うエムスリー社の求人を見てみましょう。
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〇担当業務
・M&A案件のソーシング
-ターゲット案件の探索・リストアップ、持ちこみ案件の分析、提案書作成、アプローチ等
・M&A案件のエグゼキューション
-ストラクチャリング、企業価値の分析、デューデリジェンス、契約交渉、クロージング、各種開示等の実行をPMとしてリード
・買収後のPMI遂行
-買収先企業の経営効率化の推進のリード
-買収先企業とM3及びM3グループとの協業を通じた価値創造プロセスのリード
※上記はいずれも、買収先企業のマネジメントチームの一員として遂行して頂きます。
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このように、大手企業で資金体力がある場合と、スタートアップでは事業開発のペルソナの設計も大きく変わってきます。
この場合は、国内M&Aエグゼキューション推進を実行できる方がペルソナとなってきます。自社の求めるペルソナをきちんと定義する重要性がここでも分かりますね。
事業推進のペルソナとは
事業推進のペルソナについては、前者と打って変わって事業のグロースをアクションまでできる方になってきます。具体的には事業会社で0から事業立ち上げまで経験していた方や、1→100で事業モデルだけある状態からインハウス組織のPMとしてプロジェクト全般を見ていた方など。
こちらに関しては、ラクスル社のBizDev職などが近いです。同社BizDev職の必須条件を見てみましょう。
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・事業モデルを実現するためのバリューチェーンの設計及び、ビジネスパートナーの開拓/交渉
・顧客価値を実現するための、プロダクト開発及びマーケティング戦略の策定及び、実行
・事業戦略を実現するための、チームビルディング(採用/育成/評価)及び、業務フローの平準化
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上流の戦略設計ももちろん要件に入っていますが、どちらかと言えば新規開拓やマーケティングの戦略設計、チームビルディングなど、広く事業を運営していく上で求められる実務スキルが求められます。いずれのバランスも取れた方が、ペルソナとして設定されます。
このように、BizDevを職能で分類してみると、それぞれの採用ペルソナが見えてきますね。
具体的な採用手法について
事業戦略・戦略設計寄りの採用戦略
こうしたペルソナに対する採用戦略としては、
以下のような選択肢が望ましいでしょう。
・エージェント(コンサル出身者に強みを持つ)
・ビズリーチ
・Liiga
コンサルや上流の戦略設計に特化した人材紹介サービスや、ハイタレント向けのダイレクトリクルーティングサービスなどが該当してきます。総じて高単価になってきますが、BizDev職の採用の難易度も含め、上記のようなハイタレント向け採用ツールの導入がお勧めです。
特にAGに関しては工数が削減できるため、自社にリソースが無い際にはマッチする印象ですが、ダイレクトリクルーティングでの能動的な提案が可能になる採用チャネルもまた、職種として採用難易度が高いからこそ、あえて選択するのも検討した方が良いと言えます。
事業推進寄りの採用戦略
こうしたペルソナに対する採用戦略としては、
以下のような選択肢が望ましいでしょう。
・ハイタレント向けエージェント
・ビズリーチ
・Wantedly
・Youtrust
前者の採用手法でも採用はできますが、やや事業サイドに寄ったBizDev職の募集となると、上記のような媒体でも十分に採用できるかと思います。実際Youtrust経由で事業開発の採用に成功している企業を複数知っており、低単価で採用できる為、検討してみても良いツールかと思います。
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自社で育成するという選択肢
ここまで、どのように採用するかについて深く説明してきましたが、
やはりBizDevの採用は非常に難しいものです。
「自社のメンバーをBizDevに育てる」
という選択肢をお持ちになった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ただ、そこにある壁としては、以下のようなものが挙げられます。
①多様なスキルセットの必要性
BizDev職は、市場分析、戦略立案、交渉技術、パートナーシップ構築、新規事業開発など、更には営業やマーケティング、人事、エンジニアリング迄、多岐にわたるスキルが求められます。こうしたスキルは通常、異なる職種や業界で経験を積むことで習得されるため、一つの組織内でこれらすべてのスキルを持つ人材を育成することは難しいケースが多いです。
②高度な戦略的思考能力
BizDev職は、企業の将来に大きな影響を与える意志決定を下すことが求められます。これには、高度な戦略的思考能力と、未来予測を行い、長期的な視点で物事を考える能力が必要です。このような能力は、単に知識を教えるだけでは身につけることが難しく、実践と経験を通じて徐々に習得していく必要があります。また自社内にそうしたロールモデルが存在していない限り、その成長も鈍化してしまうとも言えます。
上記のような困難な側面を解消すべく、各業務プロセスをインハウス化して網羅的に勉強できるようにしたり、優秀なロールモデルを採用してその下にメンバーを付けたり、環境整備を行わない限り、育成という選択肢は中々見えてこないかと思われます。
また、そこにコストを投下せず、採用してしまった方が事業成長もスムーズな可能性も高く、自社のおかれている状況から総合的に判断する必要性があると言えますね。
最後に
いかがでしたでしょうか?
今後、事業開発の必要性は一層高まっていくことが想定されるため、採用に向けてしっかりと準備していく必要性があります。
ただでさえ忙しい人事業務の中に、BizDev職採用という高度な専門性を要する採用活動が入ってくると、業務が圧迫され、本来集中すべき他の業務に集中できなくなってしまう可能性もあります。
BizDev職を採用する戦略等について、少しでも参考になれば幸いです。
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